2012年3月29日木曜日

ジャックラッセルテリア飼育奮闘記 (25) - JRTを間違えて飼ってしまう方に(後編) | Dog Actually Produced By GREEN DOG


生後4ヶ月の頃のマイロの取っ組み合い遊びの様子。ジャックラッセルテリア同士なので、これでも遊びの範疇だが、他の犬種相手なら、本気の喧嘩と取られても仕方ない凶暴さだ。

 (承前)前回に引き続き、可愛い外観に騙されて、すでにジャックラッセルテリアを飼ってしまい、手に負えなくて困っている、と言う方への改善提案をご紹介します。

今回ご紹介するのは、以下の二つの問題行動の改善提案です。

4.他の犬と喧嘩しそうになる(56件)
5.リードから放すといくら呼んでも帰ってこない(42件)

では、どのようにすれば、これらの問題を解決できるでしょうか?

ドッグランで他のジャックラッセルテリアと激しい取っ組み合い遊びをしているマイロ。この行為が喧嘩ではなく遊びなのは、次の写真でわかる。

 4.他の犬と喧嘩しそうになる

最初にお断りしておきますが、ジャックラッセルテリアは、元々喧嘩っ早くなる素質を持った犬種だと思います。
それはこの犬種が、イギリスの年中行事であるキツネ狩りの際に、キツネを穴から追い出し、逃げるキツネの後足に咬み着いて止め、必要なら自力でキツネを仕留める=殺す事まで目的として育種された獰猛な獣猟犬だからです。

肉食動物であるキツネに対抗するために、ジャックラッセルテリアはフォックステリアに様々な犬種を交配して作り出した犬です。中でもブル・バイティングのブルドッグと闘犬のブルテリアとの交配は、ジャックラッセルテリアに不屈の敢闘精神を与えてしまったようにも見えます。

実際、散歩で出会うジャックラッセルテリアの中には、いきなり吠えかかり、咬み着かんばかりにしてくる犬が何匹かいます。一方、我が家のジャックラッセルテリアのマイロとジャンの様に、一定以上の社会性を持ち、自分からは喧嘩をふっかけない程度には、他の犬に対する攻撃抑制を身につけた犬もいます。

両者の差は、どの様にしてついたのでしょう?それが分かれば、喧嘩っ早いジャックラッセルテリアも、おとなしく制御の効いた家庭犬にできるはずです。

我が家のマイロとジャンが、ジャックラッセルテリアと言う獰猛な犬種の割には、制御が効いた行動を取り、どんな犬や人にもフレンドリーに振る舞えるのは、幼少期に人間と犬の双方に徹底的な社会化を行ったからです。


虫はどこから来るのか?

具体的には、マイロは子犬時代にワクチンの接種を早め、リスクを承知の上で、若い狼犬や社会性のある大型犬と、毎日毎晩取っ組み合い遊びをさせてもらい、大人の犬から犬の流儀で「あらゆる犬は仲間なので、むやみに咬んではいけない」と言う事を教わった結果、なんとか対犬の社会化が可能になった犬でした。

マイロはペットの量販店で、生後1ヶ月から単独展示で飼育され、生後2ヶ月の頃、我が家に来ました。当然、幼時から社会化の機会を奪われていたため、制御の効かない咬み癖があり、飼い主家族だろうが、よその人だろうが、手を出せば血が出るまで咬み着いて放さない、手を出さない時も、かかとやすねに咬み着いてくると言う攻撃的な犬でした。

それが生後2ヶ月から4ヶ月の間に、毎晩の様に狼犬と取っ組み合い遊びをさせてもらったおかげで、生後4ヶ月に永久歯に生え替わる頃には、本当の意味の「甘咬み」を覚えで、同時に散歩の途中で出会う人に片っ端から構ってもらう事を繰り返したおかげで、あらゆる年齢性別の人間に対する社会化も可能になり、結果として、犬対犬では礼儀正しく振る舞い、対人では、アイコンタクトして構ってくれそうな人には、誰にでもすぐ懐く犬に育ちました。

疲れるまで取っ組み合い遊びをして、2匹仲良く木陰で休んでいるマイロと友達のジャックラッセルテリア。喧嘩の様に見える取っ組み合いでも、彼らにとっては楽しい「遊び」なのが分かる。大切なのは、飼い主が遊び=儀礼的闘争と本当の闘争を見分け、遊びなら、疲れるまで遊び倒させてやることだ。

喧嘩っ早いジャックラッセルテリアの対策の解の一つがこれだと思います。

犬がまだ子犬か若犬の間は、親しく遊んでくれる、社会性のある大型犬と、取っ組み合いを含む、直に触れあう機会をできるだけたくさん設け「あらゆる犬は仲間なので、むやみに攻撃的に振る舞ってはいけない」と犬の流儀で教わる事、犬に社会性を身につけさせ、その上で攻撃抑制を学ばせる事が最も重要。

犬が喧嘩っ早い理由には、さらに他のパターンがあります。

よく小型犬の飼い主さんに多いのが、

「うちの子は気が強くて、すぐに吠えたり、喧嘩しそうになるの」

とおっしゃる方です。


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しかし、実際に犬の吠え方や、リードを引っ張って、こちらに飛びかかろうとする仕草を見る限り、その攻撃行動の原因は、その犬が相手に感じている「恐怖の裏返し」である事が多いのです。これは自分の犬の社会性と攻撃抑制が十分な場合、自分の犬を吠えて騒いでいる犬に近づけて見ると分かります。本当に気が強い犬は限界距離の同心円を超えると、実際の攻撃に移りますが、その多くは近づく犬に恐れをなして黙って顔を背ける例が多いのです。

こうした犬の飼い主さんは、犬に対して無条件に優しい女性が多く、特に犬の首がしまったら可哀想と考えて胴輪と伸びるリードで散歩している方が多いです。

また普段の散歩では犬に先行させ、飼い主はまるで犬の従者の様に後からついて行く例がほとんどです。

群れで暮らすオオカミは、基本的に下位者は上位者の後からついて歩く習慣がある。どんなに可愛い外観の犬でも、この順位を示す位置関係に対する認識は変わらないと僕は思う。ジャックラッセルテリアと主従関係を結びたい飼い主は、絶対に犬に前を歩かせないと言う習慣からやり直すべきだろう。

犬に飼い主より前を歩く事を許すと言う行為は、犬に対して次のような心理的な葛藤を与える可能性が高い行為です。

  • 飼い主に先行を許された犬は、その局面では飼い主より上位であるという感覚を持つ
  • 後ろからついてくる飼い主は、犬にとって自己主張をしない下位者と見なされる
  • 犬は飼い主より小さい身体で、上位者として振る舞う事を半ば強要される
  • 犬は飼い主より少ない経験で、前からくる仮想敵に対する対応を決めなければならない
  • 犬は後ろからくる下位者である飼い主を守らなければならないと言う気分にさえなる
  • 仮想敵は、見知らぬ人間、クルマ、オートバイ、そして自分より強そうに振る舞う犬などである
  • 犬は後ろから来る飼い主を頼りにならない存在と見なし、決死の覚悟で前からくる他の犬に攻撃的な振る舞いを見せ、追い払おうとする
  • その結果、中途半端に気の弱い小型犬の多くが、社会化されていない他の犬や人に対して、攻撃的に振る舞い、あたかも喧嘩をふっかけている様な状態になり、吠え騒ぎ、あたかも飛びかかりそうな様子を見せる

ジャックラッセルテリアで問題なのは、このやけっぱちな自己防衛のための攻撃が、しばしば強力な牙と顎と、素早い体裁きによって、相手の犬に対して有効になってしまうことです。


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一度、攻撃的に振る舞って、怖い相手を排除する事に成功した犬は「自分が攻撃的に振る舞えば仮想敵を追い払える」と、望ましくない学習をします。そして次に同じような機会が訪れると、もはや攻撃をためらわなくなります。その結果、恐怖の裏返しで喧嘩っ早い犬ができあがってしまうのです。

ジャックラッセルテリアといえども、アイコンタクト・脚側停座・脚側歩行が確実にできるまで訓練すれば、たいていの問題行動は解決に向かう。そのくらい脚側(ヒール)の訓練は重要なのだ。

こういう心理的背景から喧嘩っ早くなってしまった犬に対する対処方法は下記の様なものがあります。

  • アイコンタクト・脚側停座・脚側歩行の訓練を最初からやり直し「飼い主が許可しない限り、絶対に犬に飼い主の前を歩かせない」と言う習慣を確立します。
  • ジャックラッセルテリアは、祖先のオオカミの行動規範に基づく行動を取る個体が多く、犬より絶対前を歩こうと主張しつづける事ができる飼い主を、徐々に上位者と認めるようになります。
  • 犬が飼い主を上位者と認めてしまえば、犬は相対する犬に対してどんな態度を取るか、その判断を飼い主にゆだね、飼い主が敵対しない相手=飼い主がフレンドリーにする相手には、自分もフレンドリーに振る舞う様になって行きます。
  • この状態に至る以前の短期的対応としては、自分の犬が仮想敵と感じる相手に、犬自身が気づいたと思った瞬間、飼い主主導で強引にUターンして、自分の犬に攻撃的に振る舞う機会を与えないようにします。
  • 次の段階では、自分の犬を闘争距離(犬が攻撃的になる距離)の手前から、脚側停座させ、アイコンタクトして相手の犬をやり過ごせるようにします。
  • さらに次の段階では、脚側歩行のまま、礼儀正しく相手を無視して通り過ぎる事ができるようにします。

行儀良く、飼い主の横から後ろをついて歩けるように訓練された犬は、たとえ、子犬時代の社会化が不十分だったとしても、大きな問題を起こす事はない。仮想敵を礼儀正しく無視する事ができるようになるからだ。

この様に、犬の成長段階や、犬の心理状態を、飼い主自身が良く見極め、その犬に合った方法で対処すれば、喧嘩っ早いジャックラッセルテリアの問題行動も改善可能と言うことです。

5. リードから放すといくら呼んでも帰ってこない

この状態に陥っているジャックラッセルテリアには、主に2つのパターンがあるようです。

1. 子犬の頃は、呼べば帰って来ていたので、呼び戻し訓練をきちんと行わなかった。


この場合は、呼び戻し訓練を基本からやり直すのがお勧めです。

最初はリードに繋いだまま、手元に呼び寄せ、飼い主の命令で戻れば、必ず良いことがあると学習させる。リード無しの呼び戻し訓練も、最初は地味に短距離から少しずつ距離を伸ばして訓練する。最初は数回でもうまくできたら、すぐに訓練を終わりにして、犬と遊んでやる。

地味だが、大切なのが、呼び戻し訓練。なんとなく呼べば帰ってくる、ではなく、飼い主に呼ばれたら、確実に戻る状態になるまで訓練するのが大切だ。

2. ドッグランなどで、犬が夢中になって遊んでいる状態では呼び戻しが効かない

訓練の最初の段階では、犬の遊びが一段落するまで待って呼ぶこと、犬が呼ばれたけど、帰らずに済んでしまったという負の実績を残さない事が重要です。

もちろん、自分の犬が、他の犬や人に迷惑な行為を行っている時は止めなくてはなりませんが、その場合は飼い主が犬の元に向かい、静止や中断を命じる様にします。

呼び戻して叱る行為は、絶対にやってはいけません。犬は呼ばれて戻ると叱られると言う、最悪の学習をしてしまうからです。

この呼び戻し訓練では、犬が呼ばれて帰ってきたら、戻った事を笑顔で褒め、必要なら餌を与え、すぐに遊びに戻してやる事を繰り返すと良いと思います。ジャックラッセルテリアは状況判断に優れた犬なので、呼ばれて帰れば良い事があると学習し、さらに呼ばれて帰っても、遊びの終わりではないと学習し、その結果、呼び戻しに対する反応が確実に良くなって行くのです。

呼び戻し訓練については、下記の記事も是非参考になさってください。

参考記事:呼べば必ず戻る犬にするには?

ドッグランの中で遊んでいるマイロとジャンを家内が呼び戻して、対面停座を命じたところ。幼時より呼び戻し訓練を入れ、成犬になっても訓練を絶やさなければ、ジャックラッセルテリアのように活発な犬種でも、呼び戻し訓練は必ずはいるものだ。



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